抗がん剤による嘔気・嘔吐
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2008年10月26日
今日は、抗がん剤による嘔気・嘔吐にたいする食事指導の内容をお伝えします。
抗がん剤か体に入ると、副作用が起こります。これを、いかに抑えながら治療をがんばって継続できるかが重要となります。
従って、私たちの役割はいかに患者さんの副作用のコントロールをしてさしあげて、苦痛が少なく治療を全うできるようにサポートしていくことです。
入院中の食事指導は栄養士さんが積極的に行ってくれています。
「P.S. アイラブユーはとても素敵な映画ですよ。」って、一緒に頑張っている緩和ケアチームのメンバーが教えてくれました。
今ホームページでP.S. アイラブユーの予告編を観てみました。
もう少しで涙がこぼれそうになってしまいました。
時間が許せば早く観にいきたいです。
またこの映画で涙を流して、心をきれいにしてきますね
↓でも、男はそんなに簡単に泣いちゃダメ!とクリックお願いいたします。いつも応援ありがとうございます。

・少ない量で、何回かに分けて食事をとる(胃の膨満は嘔気を誘発する)
・冷たくて口当たりが良く、飲み込みやすい料理を選ぶ。
・味付けは自分好みにする(味覚障害時は濃い口)
・揚げ物や脂っこいものは避ける。
・においの強いものは冷ましてから食べる。
・クラッカー、トースト、シリアルなどの乾燥食を食べる。
・水分摂取(電解質を含むもの)、炭酸抜きの飲料水
・食後にすぐに横にならないようにする。
乳がん学校テキストより引用
抗がん剤か体に入ると、副作用が起こります。これを、いかに抑えながら治療をがんばって継続できるかが重要となります。
従って、私たちの役割はいかに患者さんの副作用のコントロールをしてさしあげて、苦痛が少なく治療を全うできるようにサポートしていくことです。
入院中の食事指導は栄養士さんが積極的に行ってくれています。
「P.S. アイラブユーはとても素敵な映画ですよ。」って、一緒に頑張っている緩和ケアチームのメンバーが教えてくれました。
今ホームページでP.S. アイラブユーの予告編を観てみました。
もう少しで涙がこぼれそうになってしまいました。
時間が許せば早く観にいきたいです。
またこの映画で涙を流して、心をきれいにしてきますね
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転移再発乳がんに対する治療
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2008年9月10日
転移再発乳がんでアンスロサイクリンあるいはタキサンによる一次および二次化学療法で増悪した場合に、どのような治療が有用であるのかというお話です。
カペシタビンの特徴的な副作用として手足症候群(Hand foot syndrome)があります。
これは内服を初めて2週間の間に手足にぴりぴりした症状が出始める方が多く、わかりやすく分類すると
グレード1 手足に痛みなし、発赤やしびれあり
グレード2 皮がむけたりしながら痛みを感じる
グレード3 日常生活に支障が出るほど、痛くて手足の皮がむけている。
このように分類されています。
このグレード2以上の症状がでたら、カペシタビンを一度お休みしたり、延期したりして改善をまちます。
手足症候群を早急に治す特効薬はまだないので、症状がでたら内服をお休みして主治医に相談することが重要です。
今日は東京でカペシタビンに関する勉強会があり、このような内容を教わってまいりました。
こちらのブログでは、今日学ぶことのできた最先端の医療のお話や、少しでも多くの方に乳がんの基本について学んでいただくことができたらと考えて引用する基本的な内容を、復習のために盛り込んでいます。
もう知ってるよ、という内容が繰り返しでて来る場合もあると思いますが、それは乳がんについてまだ何もご存じない方が、急に乳がんとの告知を受ける、その日のためにお役に立てればとブログを続けているのです。
乳がんの知識の深い方には、物足りなさを感じることもあるかもしれませんが、またその際にはみなさまの御指導・アドバイスをよろしくお願いいたします。
「カペシタビン単剤での奏効率はいくつかの第二相試験では15-28%であり、5-FU耐性やタキサン耐性においても効果が見られた。
タキサンを含む二次ないし三次化学療法が施行された74人の転移・再発乳がんに対するカペシタビンの第二相試験では、奏効率26%、生存期間12.2ヶ月、奏効期間8.3ヶ月、TTP(病勢進行までの期間)は3.2ヶ月であった。
またアンスラサイクリンおよびタキサン前治療歴のある126人の第二相試験ではTTP4.9ヶ月、奏効率28%、生存期間は15.2ヶ月であった。
以上より、転移・再発乳がんに対する三次化学療法として、カペシタビンは有用である可能性がある。
しかしこれは第二相試験の結果からの推測である。」
乳癌診療ガイドライン 薬物療法 2007より引用
カペシタビンの特徴的な副作用として手足症候群(Hand foot syndrome)があります。
これは内服を初めて2週間の間に手足にぴりぴりした症状が出始める方が多く、わかりやすく分類すると
グレード1 手足に痛みなし、発赤やしびれあり
グレード2 皮がむけたりしながら痛みを感じる
グレード3 日常生活に支障が出るほど、痛くて手足の皮がむけている。
このように分類されています。
このグレード2以上の症状がでたら、カペシタビンを一度お休みしたり、延期したりして改善をまちます。
手足症候群を早急に治す特効薬はまだないので、症状がでたら内服をお休みして主治医に相談することが重要です。
今日は東京でカペシタビンに関する勉強会があり、このような内容を教わってまいりました。
こちらのブログでは、今日学ぶことのできた最先端の医療のお話や、少しでも多くの方に乳がんの基本について学んでいただくことができたらと考えて引用する基本的な内容を、復習のために盛り込んでいます。
もう知ってるよ、という内容が繰り返しでて来る場合もあると思いますが、それは乳がんについてまだ何もご存じない方が、急に乳がんとの告知を受ける、その日のためにお役に立てればとブログを続けているのです。
乳がんの知識の深い方には、物足りなさを感じることもあるかもしれませんが、またその際にはみなさまの御指導・アドバイスをよろしくお願いいたします。
抗癌剤による副作用をどう乗り越えるか
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2008年9月8日
今日も乳がん学校に参加して得た情報の中から特に厳選して有意義な情報を皆様にお伝えしていきます。
抗癌剤による副作用として最も最初に皆様の頭に浮かぶのは吐き気ではないでしょうか。この、吐き気や食欲不振がまず患者様にとってつらいこととなります。この副作用さえなければもっと、楽に抗癌剤治療を受けられるのにと考えている患者様が多いと思います。
抗癌剤治療開始時からの時間経過で、出現する吐き気の原因が異なってきます。
嘔気の種類を大きく分類すると以下の通りです。
1.即時型
投与後1-2時間後に始まり、遅くとも24時間以内に消失するもの。
2.遅延型
投与後24-48時間後に始まり、数日持続するもの。
3.予測型
抗癌剤投与による嘔吐経験者による。
1.即時型はセロトニン(神経伝達物質)放出による嘔気であり、5-HT3受容体拮抗薬が有効です。
2.遅延型は消化管の運動が障害を受けることや細胞破壊産物が作られることが原因であるので、消化管運動機能亢進薬やステロイドホルモン剤が有効です。
3.予測型は、抗癌剤投与による嘔吐経験のある患者様に多く見られます。抗不安薬などが有効です。
このように私たち癌治療担当医は適切な時期に、適切な治療を追加していくことによって嘔気が軽くなるように調整しております。
それでもつらい患者様もいらっしゃいますが、最終的には病気を乗り越えようとする強い気持ちで、副作用を抑え込むことになることがあります。
ところで9月中旬に、緩和ケアに関する勉強会があってそのなかで私のちょっとした発表が予定されています。
日本内視鏡外科学会の発表が終わったと思ったら次には、またそんな発表が待っています。
それら一つ一つに全力投球していますが、一つ終わるとまた次の課題、また一つ終わると次のハードルと、自分で知らないうちにどんどん自分のおしりを叩いていて、笑ってしまいます。
わたしのおしりがお猿さんのように真っ赤っかにならないように気をつけます (*^_^*)
抗癌剤による副作用として最も最初に皆様の頭に浮かぶのは吐き気ではないでしょうか。この、吐き気や食欲不振がまず患者様にとってつらいこととなります。この副作用さえなければもっと、楽に抗癌剤治療を受けられるのにと考えている患者様が多いと思います。
抗癌剤治療開始時からの時間経過で、出現する吐き気の原因が異なってきます。
嘔気の種類を大きく分類すると以下の通りです。
1.即時型
投与後1-2時間後に始まり、遅くとも24時間以内に消失するもの。
2.遅延型
投与後24-48時間後に始まり、数日持続するもの。
3.予測型
抗癌剤投与による嘔吐経験者による。
1.即時型はセロトニン(神経伝達物質)放出による嘔気であり、5-HT3受容体拮抗薬が有効です。
2.遅延型は消化管の運動が障害を受けることや細胞破壊産物が作られることが原因であるので、消化管運動機能亢進薬やステロイドホルモン剤が有効です。
3.予測型は、抗癌剤投与による嘔吐経験のある患者様に多く見られます。抗不安薬などが有効です。
このように私たち癌治療担当医は適切な時期に、適切な治療を追加していくことによって嘔気が軽くなるように調整しております。
それでもつらい患者様もいらっしゃいますが、最終的には病気を乗り越えようとする強い気持ちで、副作用を抑え込むことになることがあります。
ところで9月中旬に、緩和ケアに関する勉強会があってそのなかで私のちょっとした発表が予定されています。
日本内視鏡外科学会の発表が終わったと思ったら次には、またそんな発表が待っています。
それら一つ一つに全力投球していますが、一つ終わるとまた次の課題、また一つ終わると次のハードルと、自分で知らないうちにどんどん自分のおしりを叩いていて、笑ってしまいます。
わたしのおしりがお猿さんのように真っ赤っかにならないように気をつけます (*^_^*)
乳がんの薬物療法
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2008年9月7日
昨日の横浜市立大学主催の乳がん学校でも、乳がんの薬物療法の最前線について再確認してまいりました。特に、早期乳がんに対する治療に関しては、現在ザンクトガレン2007という世界中の乳腺外科医が使用しているガイドラインがあります。
日々乳がんの薬物治療に関する情報は更新され、またハーセプチンなどの分子標的薬剤も続々と開発され、臨床試験が行われています。
がんに悩まされている患者様方には嬉しい情報も入ってきますが、医療費が高騰していくことが今後の問題点になっていきます。
命はお金に代えられない、そう思います。
でもお金がないからと言って治療を拒否される方も実際にいらっしゃいます。
そういう患者様たちの医療費支払いをサポートしてくれるシステムがないかどうかをソーシャルワーカーさんたちに相談し、患者様に安心を提供すること、これも医師の役割だと思います。
これは昨日の乳がん学校でも学んだことです。
医者は病気さえ治療すれば良い。
そういう時代は終わりつつあります。
患者様の生活背景すべてを把握し、病院スタッフ全員で患者様お一人お一人が安心して治療を受け続けられるようにサポートしていく。
そんな時代が始まりつつあります。
「早期乳がんに対する化学療法、ホルモン療法の適応についてはザンクトガレンの指針(2007年)
が用いられる。
化学療法を考慮すべき因子は
腋窩リンパ節転移陽性
浸潤腫瘍径2cm以上
組織核異型度2、3
脈管浸潤あり
HER2蛋白発現または遺伝子増幅有り
年齢35歳未満
である。
早期乳がんに対するタキサンの最適な投与方法は、パクリタキセルは毎週投与、ドセタキセルは3週毎投与が優れることが判明した。
標準的術後療法として抗癌剤治療を約6ヶ月間行い、ホルモンレセプターであるER(エストロゲンレセプター)陽性またはPgR(プロゲステロンレセプター)陽性の場合には、化学療法終了後にホルモン療法を行う。」
癌研有明病院化学療法科乳癌担当部長 伊藤 良則先生
日本医師会雑誌 第137巻・第4号(2008.7) より引用
日々乳がんの薬物治療に関する情報は更新され、またハーセプチンなどの分子標的薬剤も続々と開発され、臨床試験が行われています。
がんに悩まされている患者様方には嬉しい情報も入ってきますが、医療費が高騰していくことが今後の問題点になっていきます。
命はお金に代えられない、そう思います。
でもお金がないからと言って治療を拒否される方も実際にいらっしゃいます。
そういう患者様たちの医療費支払いをサポートしてくれるシステムがないかどうかをソーシャルワーカーさんたちに相談し、患者様に安心を提供すること、これも医師の役割だと思います。
これは昨日の乳がん学校でも学んだことです。
医者は病気さえ治療すれば良い。
そういう時代は終わりつつあります。
患者様の生活背景すべてを把握し、病院スタッフ全員で患者様お一人お一人が安心して治療を受け続けられるようにサポートしていく。
そんな時代が始まりつつあります。
乳がん術前化学療法による癌の消滅
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2008年8月30日
癌の消滅。
これはみんなの願いです。
どうしたら癌を消滅させることができるのか。
そんな方法があるのか。
術前化学療法が一つの答えかもしれません。
「尾浦 正二先生(和歌山県立医大 第一外科):
pCR(病理学的完全奏効:顕微鏡で確認すると完全が癌細胞が消失している)がでやすいのは、エストロゲンレセプター陰性に多いとか、腫瘍が小さい、若い人に多いなどのデータがありますね。
HER2などその典型で、ハーセプチンが入ることによってpCRが65%と言われています。
霞 富士雄先生(順天堂医院乳腺センター):
わたしも2000年頃になるまで、化学療法で癌が消失するということはほとんど考えませんでした。
PR(部分奏効)、縮小ということがあっても、癌が消失してしまうことはまずなかったし、考えもしませんでした。
現在、pCR群があり、その予後が5年生存率で90%、10年生存率で80%ということは、われわれにずいぶん希望を与えています。」
今日は癌治療に関するセミナーに朝から参加してきました。
夕方までしっかり監禁されて、エコノミークラス症候群になるかと思いました (^^;)
でも、また新しい情報を頭に詰め込むことができてうれしかったです。
今後は、癌の遺伝子レベルでの解析がもっと進んで、患者様お一人お一人に適切な治療を行うことが早くできるようになれば良いなと感じました。
でも、そんな日もすぐそこまで来ているようです。
今日は、大学時代の優しい先輩に偶然お会いすることができて、とってもうれしかったです。
そしてまた、仲良しの友人とも久しぶりに会ったので一緒に帰ってきました。
なんだか、みんなそれぞれがんばってて嬉しくなってしまいました。
また、がんばろっと!
これはみんなの願いです。
どうしたら癌を消滅させることができるのか。
そんな方法があるのか。
術前化学療法が一つの答えかもしれません。
「尾浦 正二先生(和歌山県立医大 第一外科):
pCR(病理学的完全奏効:顕微鏡で確認すると完全が癌細胞が消失している)がでやすいのは、エストロゲンレセプター陰性に多いとか、腫瘍が小さい、若い人に多いなどのデータがありますね。
HER2などその典型で、ハーセプチンが入ることによってpCRが65%と言われています。
霞 富士雄先生(順天堂医院乳腺センター):
わたしも2000年頃になるまで、化学療法で癌が消失するということはほとんど考えませんでした。
PR(部分奏効)、縮小ということがあっても、癌が消失してしまうことはまずなかったし、考えもしませんでした。
現在、pCR群があり、その予後が5年生存率で90%、10年生存率で80%ということは、われわれにずいぶん希望を与えています。」
今日は癌治療に関するセミナーに朝から参加してきました。
夕方までしっかり監禁されて、エコノミークラス症候群になるかと思いました (^^;)
でも、また新しい情報を頭に詰め込むことができてうれしかったです。
今後は、癌の遺伝子レベルでの解析がもっと進んで、患者様お一人お一人に適切な治療を行うことが早くできるようになれば良いなと感じました。
でも、そんな日もすぐそこまで来ているようです。
今日は、大学時代の優しい先輩に偶然お会いすることができて、とってもうれしかったです。
そしてまた、仲良しの友人とも久しぶりに会ったので一緒に帰ってきました。
なんだか、みんなそれぞれがんばってて嬉しくなってしまいました。
また、がんばろっと!
乳がん術前化学療法の目的とは・・
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2008年8月29日
それでは本日は、乳がん術前化学療法の目的について考えてまいりましょう。
どんなかたでも、まず抗癌剤治療というわけではありません。
きちんと、その目的を考えないと余計な治療になってしまいます。
「野口 昌邦先生(金沢大学乳腺科):
日本は1986年に乳房温存療法を導入しました。
乳房温存療法を目的とする術前化学療法は、アメリカでは1990年代に研究をはじめ、結果が出そろって2000年頃日本でも注目されたということになります。
わたしはその当時、半年近く化学療法を行ってその間手術をしない術前化学療法は日本では受け入れられないと考えたのですが、現在はかなりの症例に行うようになっています。
尾浦 正二先生(和歌山医科大学第一外科):
術前化学療法を効果が期待できる人に行うのはよいと思うのですが、効かない人に“癌が大きいから”という理由で行っても、私は意味がないと思います。
術前化学療法の目的は、pCR(病理学的完全奏効)を得ること、すなわち治癒の確率を高めることだと私は思っています。
そのために、再発率の高い乳がんには積極的に術前化学療法を行うことになります。
野口先生:
術前化学療法の目的には、乳房温存率を高めること、そして人の体内(in vivo)にて薬剤の効果を判定するという2つがあると思います。」
乳がんと診断を受けて、すぐに手術を行ったほうが良いのか、あるいは術前化学療法を行ったほうが良いのかは、手術前の検査をしっかりとおこなって、どのようなタイプの乳がんであるかの検討を、まず主治医の先生と共に確認することが大切です。
そして、まず手術を行いましょうという場合には、きちんとその結論に至った経緯を主治医の先生とお話しじっくり考えた上で納得し、最終判断は御本人・御家族でおこなう必要があると思います。
今近くに雷がどーんと落ちました。
一瞬目の前がピカーと光ってどーんと落ちました
あまりにも激しくて、一歩も外に出られません。
いずれにしても、来週の学会発表の準備で一歩も外に出られません。
それではくれぐれも雷にはお気をつけて (^^)/
どんなかたでも、まず抗癌剤治療というわけではありません。
きちんと、その目的を考えないと余計な治療になってしまいます。
「野口 昌邦先生(金沢大学乳腺科):
日本は1986年に乳房温存療法を導入しました。
乳房温存療法を目的とする術前化学療法は、アメリカでは1990年代に研究をはじめ、結果が出そろって2000年頃日本でも注目されたということになります。
わたしはその当時、半年近く化学療法を行ってその間手術をしない術前化学療法は日本では受け入れられないと考えたのですが、現在はかなりの症例に行うようになっています。
尾浦 正二先生(和歌山医科大学第一外科):
術前化学療法を効果が期待できる人に行うのはよいと思うのですが、効かない人に“癌が大きいから”という理由で行っても、私は意味がないと思います。
術前化学療法の目的は、pCR(病理学的完全奏効)を得ること、すなわち治癒の確率を高めることだと私は思っています。
そのために、再発率の高い乳がんには積極的に術前化学療法を行うことになります。
野口先生:
術前化学療法の目的には、乳房温存率を高めること、そして人の体内(in vivo)にて薬剤の効果を判定するという2つがあると思います。」
乳がんと診断を受けて、すぐに手術を行ったほうが良いのか、あるいは術前化学療法を行ったほうが良いのかは、手術前の検査をしっかりとおこなって、どのようなタイプの乳がんであるかの検討を、まず主治医の先生と共に確認することが大切です。
そして、まず手術を行いましょうという場合には、きちんとその結論に至った経緯を主治医の先生とお話しじっくり考えた上で納得し、最終判断は御本人・御家族でおこなう必要があると思います。
今近くに雷がどーんと落ちました。
一瞬目の前がピカーと光ってどーんと落ちました
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あまりにも激しくて、一歩も外に出られません。
いずれにしても、来週の学会発表の準備で一歩も外に出られません。
それではくれぐれも雷にはお気をつけて (^^)/
乳がん術前化学療法について
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2008年8月28日
術前化学療法とは、すなわち手術前に抗癌剤治療をおこなう治療のことです。
以前は、乳がんに対しては何よりもまずは手術という考え方がほとんどでしたが、最近は手術前に抗癌剤治療を行うことが少しずつ増えてまいりました。
「霞 富士雄先生(順天堂医院乳腺センター):
最近では、術前化学療法として全世界的にはタキサン(T)とアドリアマイシン(A)を使っているようです。
タキサンからアドリアマイシンへ切り替えながら、共にハーセプチンを併用したMDアンダーソンがんセンターでは、pCR(病理学的完全奏効:顕微鏡で確認して完全にがん細胞が消失している)が65%で、その後の追加報告でも50%といいますから、大変なものです。
非浸潤性乳がんはのぞいて、浸潤癌の半数の人はがんが消失してしまう。
こうなると術前化学療法はきわめて重要ということになります。」
日本医師会雑誌2008年7月号より抜粋
術前化学療法について、しばらく続けて勉強してまいりましょうね。
今日は川崎市立井田病院 緩和ケアチーム主催の緩和ケア研修会に参加してきました。
本日は強力オピオイドと呼ばれる痛み止めのなかでも、オキシコドン製剤に関する勉強が中心でした。
がん医療における緩和ケアとは、がんにともなう痛みや苦しさをうまく抑えてあげて、ご自分の生活を楽しむことができるようにお手伝いする治療です。
そのために、強力な痛み止めを上手に処方してさしあげる必要があります。
ただしそのためにはそれぞれの薬剤がなぜ効くのか、薬剤師さんの知識も必要だし、その副作用を上手に抑える方法もしらないといけません。
とにかく、時間を惜しんで勉強するしかないのです。
そうです!時間を惜しんで勉強するしかないのです!!
すいません。
自分に言い聞かせるために、2回繰り返してみました v( ̄ー ̄)v
それでは、わたくしはお勉強をもう少ししてからおやすみなさいします。
それではまた・・・。
以前は、乳がんに対しては何よりもまずは手術という考え方がほとんどでしたが、最近は手術前に抗癌剤治療を行うことが少しずつ増えてまいりました。
「霞 富士雄先生(順天堂医院乳腺センター):
最近では、術前化学療法として全世界的にはタキサン(T)とアドリアマイシン(A)を使っているようです。
タキサンからアドリアマイシンへ切り替えながら、共にハーセプチンを併用したMDアンダーソンがんセンターでは、pCR(病理学的完全奏効:顕微鏡で確認して完全にがん細胞が消失している)が65%で、その後の追加報告でも50%といいますから、大変なものです。
非浸潤性乳がんはのぞいて、浸潤癌の半数の人はがんが消失してしまう。
こうなると術前化学療法はきわめて重要ということになります。」
日本医師会雑誌2008年7月号より抜粋
術前化学療法について、しばらく続けて勉強してまいりましょうね。
今日は川崎市立井田病院 緩和ケアチーム主催の緩和ケア研修会に参加してきました。
本日は強力オピオイドと呼ばれる痛み止めのなかでも、オキシコドン製剤に関する勉強が中心でした。
がん医療における緩和ケアとは、がんにともなう痛みや苦しさをうまく抑えてあげて、ご自分の生活を楽しむことができるようにお手伝いする治療です。
そのために、強力な痛み止めを上手に処方してさしあげる必要があります。
ただしそのためにはそれぞれの薬剤がなぜ効くのか、薬剤師さんの知識も必要だし、その副作用を上手に抑える方法もしらないといけません。
とにかく、時間を惜しんで勉強するしかないのです。
そうです!時間を惜しんで勉強するしかないのです!!
すいません。
自分に言い聞かせるために、2回繰り返してみました v( ̄ー ̄)v
それでは、わたくしはお勉強をもう少ししてからおやすみなさいします。
それではまた・・・。
細胞毒性抗癌剤について その2
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2008年5月16日
渡辺亨先生の論文から。
「現在、細胞毒性抗癌剤のレジメンは数多く存在するが、果たしてどれが最善か、どれが最も有用かということについては決定的なエビデンスが乏しい。
アントラサイクリン系薬剤を含むレジメンを使用するという考え方は最近普及している。
特にHER2陽性患者にはアントラサイクリン系薬剤が使用される機会が多い。
一方、ER陰性、PgR陰性、HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブ患者の治療には、アルキル化剤などDNA障害性を有する薬剤を使用するという主張もしばしば耳にするようになった。」
現在、わたくしの勤務する川崎幸病院では、術後補助化学療法(乳癌の手術後に再発を予防するためにおこなう抗癌剤治療)の必要な患者様に対しては、AC-T療法をおこなっております。
ACとは、Doxorubicin-Cyclophosphamide(ドキソルビシン、シクロフォスファミド)による治療方法です。原則として、3週間に1回の点滴を4回行います。
そして、AC-TのTはパクリタキセルやドセタキセルを使用しておこなう治療です。4月17日号のNew England Journal of Medicine誌に掲載された論文で、AC療法終了後に週一回のパクリタキセル投与を12週間継続することにより、従来よりも再発リスクを抑え、生存期間を延長する効果が示されたため、当院でも早速この方法を採用し行っております。
今月末に、聖マリアンナ医科大学放射線科の印牧義英先生を囲んでの乳癌の勉強会を、川崎幸病院医療スタッフ向けに企画しております。今、その前座としての準備を私もしているところです。
また、乳癌に関する最先端情報を入手して、みなさまへよりよい医療を提供していきたいと思っております
今日は、ちょっと病棟がお忙しかったために、更新が遅れてしまいました。今も、もし救急車がいらっしゃると、更新ができなくなってしまうのであわててクリッククリックしています・・・
それでは。 ピーポーが近づいてきましたので、また
「現在、細胞毒性抗癌剤のレジメンは数多く存在するが、果たしてどれが最善か、どれが最も有用かということについては決定的なエビデンスが乏しい。
アントラサイクリン系薬剤を含むレジメンを使用するという考え方は最近普及している。
特にHER2陽性患者にはアントラサイクリン系薬剤が使用される機会が多い。
一方、ER陰性、PgR陰性、HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブ患者の治療には、アルキル化剤などDNA障害性を有する薬剤を使用するという主張もしばしば耳にするようになった。」
現在、わたくしの勤務する川崎幸病院では、術後補助化学療法(乳癌の手術後に再発を予防するためにおこなう抗癌剤治療)の必要な患者様に対しては、AC-T療法をおこなっております。
ACとは、Doxorubicin-Cyclophosphamide(ドキソルビシン、シクロフォスファミド)による治療方法です。原則として、3週間に1回の点滴を4回行います。
そして、AC-TのTはパクリタキセルやドセタキセルを使用しておこなう治療です。4月17日号のNew England Journal of Medicine誌に掲載された論文で、AC療法終了後に週一回のパクリタキセル投与を12週間継続することにより、従来よりも再発リスクを抑え、生存期間を延長する効果が示されたため、当院でも早速この方法を採用し行っております。
今月末に、聖マリアンナ医科大学放射線科の印牧義英先生を囲んでの乳癌の勉強会を、川崎幸病院医療スタッフ向けに企画しております。今、その前座としての準備を私もしているところです。
また、乳癌に関する最先端情報を入手して、みなさまへよりよい医療を提供していきたいと思っております

今日は、ちょっと病棟がお忙しかったために、更新が遅れてしまいました。今も、もし救急車がいらっしゃると、更新ができなくなってしまうのであわててクリッククリックしています・・・

それでは。 ピーポーが近づいてきましたので、また

細胞毒性抗癌剤について
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2008年5月15日
もう少しだけ、渡辺亨先生の論文からお勉強させていただきます。
「現在の術後療法において、最も難しい判断が求められる問題の一つに、高度内分泌反応性または不完全内分泌反応性患者における細胞毒性抗癌剤の適応の決定がある。
内分泌療法単独では不十分と考えられる症例として、
①ホルモン受容体が比較的低発現であること
②腋窩リンパ節転移が陽性(特に広範囲)
③組織グレードが高い、あるいはKi67が陽性といった増殖の早さを物語る指標が陽性
④腫瘍径が大きい
⑤腫瘍周囲の脈管浸潤が広範囲にわたっている場合
などが挙げられる。
これらの判断を客観的に支持する検査方法として、Oncotype DXTM, MammaPrintTMなどが提唱されている。」
最後のOncotype DXTM, MammaPrintTMに関しては、乳癌の再発リスクを予測する遺伝子発現解析として注目を浴びておりますが、前者の検査費用は45万円、後者は38万円となっており、まだ日本においては非現実的な検査となっております。
でもこの検査により、不必要な抗癌剤治療を避けることができるかもしれませんので、早急に保険適応となっていただきたいと思います。
東野圭吾さんの本を今いっぱい読んでいます。先日読み終わったシリーズに、こちらでもご紹介させていただいた「黒笑小説
」と、さらに「毒笑小説
」、そして「怪笑小説
」という三部作の笑いシリーズがあります。
いろいろな悲劇と隣り合わせの喜劇がとても上手に描かれていて楽しめます。
—すいません。上から目線で。
この中でも、「怪笑小説」のなかの“鬱積電車”が、混雑した通勤電車の中で読むには最高でした。
いつもラッシュアワーの電車に乗っていて、「この疲れた感じのおじさまはどんなお仕事をしているのかな」とか、「このいらいらした様子のお兄さんは何を考えているのかな」とか、人の心の中を読み取る良い練習の場だとは感じていましたが、こんなありえない結末の小説がかけてしまう東野圭吾さんの才能に驚きです。
またあらたな出会いを求めて、今日も今から本屋さんへ行ってみます。みなさんもどうぞ。
ただし、夢中になって本の世界に入り込みすぎて、電車の乗り越し注意ですよ!!
「現在の術後療法において、最も難しい判断が求められる問題の一つに、高度内分泌反応性または不完全内分泌反応性患者における細胞毒性抗癌剤の適応の決定がある。
内分泌療法単独では不十分と考えられる症例として、
①ホルモン受容体が比較的低発現であること
②腋窩リンパ節転移が陽性(特に広範囲)
③組織グレードが高い、あるいはKi67が陽性といった増殖の早さを物語る指標が陽性
④腫瘍径が大きい
⑤腫瘍周囲の脈管浸潤が広範囲にわたっている場合
などが挙げられる。
これらの判断を客観的に支持する検査方法として、Oncotype DXTM, MammaPrintTMなどが提唱されている。」
最後のOncotype DXTM, MammaPrintTMに関しては、乳癌の再発リスクを予測する遺伝子発現解析として注目を浴びておりますが、前者の検査費用は45万円、後者は38万円となっており、まだ日本においては非現実的な検査となっております。
でもこの検査により、不必要な抗癌剤治療を避けることができるかもしれませんので、早急に保険適応となっていただきたいと思います。
東野圭吾さんの本を今いっぱい読んでいます。先日読み終わったシリーズに、こちらでもご紹介させていただいた「黒笑小説
いろいろな悲劇と隣り合わせの喜劇がとても上手に描かれていて楽しめます。
—すいません。上から目線で。
この中でも、「怪笑小説」のなかの“鬱積電車”が、混雑した通勤電車の中で読むには最高でした。
いつもラッシュアワーの電車に乗っていて、「この疲れた感じのおじさまはどんなお仕事をしているのかな」とか、「このいらいらした様子のお兄さんは何を考えているのかな」とか、人の心の中を読み取る良い練習の場だとは感じていましたが、こんなありえない結末の小説がかけてしまう東野圭吾さんの才能に驚きです。
またあらたな出会いを求めて、今日も今から本屋さんへ行ってみます。みなさんもどうぞ。
ただし、夢中になって本の世界に入り込みすぎて、電車の乗り越し注意ですよ!!
外来化学療法について
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2008年5月1日
浜松オンコロジーセンターの腫瘍内科医 渡辺亨先生のブログでは、いつも勉強させていただいております。
私たちが悩んでいることや教えて欲しいことを、日本の抗癌剤治療の第一人者の先生がわかりやすく解説していただいているので、心強いです。
4月28日のブログでは、外来化学療法について記載してくださっています。
特にハーセプチンについての記載を今日は転記させていただきます。
「ハーセプチンは38度程度の発熱は25%程度の患者で認められるが初回から外来で問題なくできる。初回は入院でハーセプチン点滴を行っている病院もあるが、そんな必要ない。」
私たちも患者様にお話するときに、腫瘍内科医の第一人者の先生がこのようにおっしゃっています、と伝えると患者様も安心されることでしょう。
これからも必要な情報はどんどん仕入れていきたいと思います。
今日は、救急車がどんどん押し寄せてきているので、ひとまずこれにて更新させていただきます。
私たちが悩んでいることや教えて欲しいことを、日本の抗癌剤治療の第一人者の先生がわかりやすく解説していただいているので、心強いです。
4月28日のブログでは、外来化学療法について記載してくださっています。
特にハーセプチンについての記載を今日は転記させていただきます。
「ハーセプチンは38度程度の発熱は25%程度の患者で認められるが初回から外来で問題なくできる。初回は入院でハーセプチン点滴を行っている病院もあるが、そんな必要ない。」
私たちも患者様にお話するときに、腫瘍内科医の第一人者の先生がこのようにおっしゃっています、と伝えると患者様も安心されることでしょう。
これからも必要な情報はどんどん仕入れていきたいと思います。
今日は、救急車がどんどん押し寄せてきているので、ひとまずこれにて更新させていただきます。